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語彙について -Vocabulary-

 

語彙そのものについて、そして英語の語彙について本やサイトなどを参考に調べて考えてみました。

    



 まずどういう目的で語彙を増やしたいかで方法も変わってくると思います。

 僕の場合、何かの試験のために学んでいるわけではないので、暗記法というよりは定着させ、いつでも引き出すことができることを目標にしたいと思います。なのでつづりとそれの日本語訳を覚えるというよりは、語義と字と音とそれが使われている場面をセットにしてイメージとその語にまつわる様々な情報をセットにしてまず覚え、英語で自ら定義してみるようにします。間違えることも当然ありますが、細かいスペルミスは特に問題にしないようにしたいと思います。

 ちなみにこれを考えていたらシットコムのフルハウスのある場面で、ステフがsuccessのつづりが覚えられないとダニーに嘆いたシーンを思い出しました(笑)その場面の続きではダニーがmnemonic deviceを使えと彼女に言います。つまり記憶を手助けする工夫しろと諭していました。そこではdouble the c, double the sといって教えてました。(当然、successが何を意味するかはステフは知っているわけですが)


 

 ちなみにこのシーンで覚えた単語がmnemonic。

 今後もsuccessやmnemonicを見聞きする度にこのシーンが出てきそうです。多分みなさんもこういった何かの状況を浮かんでしまう語があるんではないでしょうか。

 まあそれは余談として、今までそうやって単語自体に使われている状況などの情報を含めつつ覚えてきたので印象的に覚えていますが、この方法だとなかなか量はこなせません。

 そこで改めて英語の語彙について少し考えてみました。






 まずそもそも英語の語彙はいくつぐらいあるのでしょうか?

 たまたま古本屋で英語の面白い本を見つけました。300円で買ってみました。

 その本というのは言語学者(英語学)の豊田昌倫さんの書いた『英語表現をみがく<動詞編>』という本です。その中で少し語彙数について言及されていました。

 (中略)とりわけ英語の語彙数は50万とも200万ともいわれ、ヨーロッパの言語のなかでもその料と多様性はひときわ群を抜く。

  ただ、人の話を聴いたり文を読んで理解するといった「消極的」語彙と、実際に自分で話したり文を書くときに使う「積極的」語彙には決定的な相違がある。「積極的」語彙は予想以上に少なく、とくに口語英語においてはある特定の語がひんぱんに用いられる傾向がある。

 豊田昌倫. (1991). 英語表現をみがく<動詞編>. 講談社現代新書1:11


 50万~200万と幅がありますが、いろんな説があるのでしょう。それにしても膨大な数ですね。

 次に、一口に語彙といってもいくつかタイプに分けられそうです。ここを詳しく見てみました。

 まず上の本で「消極的」「積極的」といった2つの語彙の区別があると説明されていました。



 そしてまず語彙というものがもつ性質が3つに分けることができそうです。

 1 語形(つづり、音、語根)
 2 意味(ある文字・音声の並びがもつ概念、語義)
 3 用法(単語同士の関係で生まれる意味、文脈上の意味、活用、文法)



 「消極的」な語彙(理解語彙、受容語彙とも、以下「理解語彙」)
-Receptive (Passive) Vocabulary-

 読んだり、聞いたりと語形から語義が理解することができる語彙でしょうか。見たり聞いたりで理解はできるが、必ずしもそれを使える必要はなさそうです。

 さきほどのフルハウスの例だと、ステフはsuccessは語義を理解でき、読むことができ発音もできるけれどつづりを覚えられず書けない。口頭だと使えるけど、文章上では使えない。この場合は、書き出すことできない以上、理解語彙でしょうか。口頭では使える以上、使用語彙でしょうか。よくわかりません。

 僕の場合だと、日本語の場合で何が当てはまるかを考えてみました。例えば、「畢竟」という語は理解できるけど、使ったことはないので理解語彙になりそうです。

 理解語彙をさらに分けると、読んで理解できる語彙(リーディング語彙)、聞いて理解できる語彙(リスニング語彙)に区別できます。 




「積極的」な語彙(使用語彙、能動語彙、発表語彙とも、以下「使用語彙」)
-Productive (Active) Vocabulary-


 ある語を理解していることが前提でセンテンスの中でそれを発音し、或いは書き出し活用することができる。適当に語形を変化させたり、適当な場所に配置することができる語彙。その語それ自体を理解でき、それを他の語と組み合わせて使えることが必要ですね。単語を羅列するだけじゃなく活用できないと使用語彙とは言えそうになさそうです。

 僕の場合だと、例えばこのブログで書いてきた文章のなかのそれぞれの諸単語が使用語彙になります。


 理解できるから使用できる。使用が先で理解が後という場合もなくはないと思いますが。
(意味を知らないけど、"雰囲気モン" で言ってみた場合など)

 それでもほとんどの場合、理解が先行して使用することができるという時間的な順序がありそうですね。

 別の言い方をすれば、理解語彙は使用語彙の必要条件。使用語彙は理解語彙の十分条件。

   言い過ぎかもしれませんが、理解語彙が使用語彙に変化することがほとんど。理解語彙のなかに使用語彙予備軍みたいのがあって、正しく使うことができたら使用語彙になる。

 使用語彙もさらに分けてみると、語のつづり、意味、文章中の用法が理解できて書くことができる語彙(ライティング語彙)、語の音、意味、スピーチ上の用法が理解できて発音することができる語彙(スピーキング語彙)に分かれます。

 先ほどのステフの場合だと、彼女にとってsuccessはライティング語彙にだけ当てはまらないということになります。その語を success として読むこと、聞き取ること、発音し口頭で使えるけど書けない場合です。単につづりを覚えられないということですね。







   こういう風に簡単に図にしてみました。

 リスニング力を上げるにはリスニング語彙を増やすことが欠かせない。リーディング力の場合はリーディング語彙が必要。ライティング力の場合はライティング語彙が必要。スピーキング力の場合はスピーキング語彙が必要。このようにそれぞれの語彙を充実させていくことが必要条件ですね。(それらの能力を上げるには、これら以外の要素も関わってくるので十分条件ではないですね)


 リスニング語彙になるには、ある発音された音がどの語を表していると判別できその語義を理解できる必要があります。リーディング語彙の場合、ある文字の並びがどの語をあらわしていると判別でき、その語義を理解できる必要があります。上にあげた語彙の3つの性質のうち、語形(つづりや音の連続体)と意味を記憶していないといけません。

 続いて、理解語彙のなかの使用語彙をみていきたいと思います。


 スピーキング語彙になるには、リスニング語彙の条件プラス、その音が発音でき、その語を口頭で文の中で使えることが必要になります。

 ライティング語彙の場合、リーディング語彙の条件プラス、その語のつづりが書け、その語をキーボードやペンなどを使い、文章の中で使えることが必要になります。同じように語彙の性質に合わせてみると、語形、意味を記憶し、かつ使用できないといけません。

   そして先ほどの、理解が使用より先行するという前提に立つならば、「リスニングが先にできてスピーキングで使用することができる」「リーディングが先にできてライティングで使用することができる」という順序になりそうです。つまり、リスニング・リーディング語彙の中から、発音やつづりを書くことができるという条件を満たして、スピーキング・ライティング語彙に昇格するということになりますね。

 従って理解語彙>使用語彙となります。

 そういう風に考えると、各々が強化すべき語彙の種類が見えてきます。

 職業でみてみると、語彙に限ってだけ言いいますが、翻訳家は特にリーディング語彙、そしてライティング語彙の豊富なことを求められそうです。通訳者はリスニング語彙、そしてスピーキング語彙が求められそうです。繰り返しですがあくまでその言語の専門知識、背景、歴史、用法を除いた、語彙に限った話ですが。

 ちなみに、大学の先生とかで英語やドイツ語やフランス語などの読み書きはできるが、リスニング、スピーキングができないという人がしばしばいるそうです。それはおそらくスピーキングの必要がなかったからでしょうか。それが良いか悪いかはわかりません。

 大学試験でいうと、リーディング語彙が圧倒的に重要でリスニング語彙が少し、次にライティング語彙が必要ですね。日本語に翻訳する能力も必要だとしたら日本語の語彙も必要ですね。スピーキング語彙は英語での面接がない限りまったく必要ないのではないでしょうか。  それが英語を中高で6年もの期間(大学を入れるともっと長く)学んでいるのに社会人で、英語で自己紹介を3分間ぐらい維持することすらままならない人が多いのは、そういった原因があるのかもしれません。読むことや聞くことができれば日本にいる限り十分な気もします。今の試験や授業内容は変わってきているのかもしれませんが。

 それはそれで置いといて、次に母語の語彙が増えていく流れをみていきましょう。子供の語彙の修得の順番は、リスニング語彙→スピーキング語彙→リーディング語彙→ライティング語彙ではないでしょうか。文字から言葉を学ぶ赤ちゃんはいないと言っていいぐらい少ないでしょう。読み書きはやはり学校へ行ってから学ぶのではないでしょうか。


 ここまで語彙というものの性質とその種類を見てきました。

 次に実際に文章や会話の中で使われている語彙の品詞毎の割合を見ていきたいと思います。



 英語でもっとも共通な語を200語ピックアップしているサイトをみつけました。

The 200 Most Common Words in English http://teacherjoe.us/Vocab200.html

 これら200語で英語の文の80%を構成していると言われているそうです。ただ別のサイトでは上位35語で50%、2500語で78%という調査もあります。しかしこの200語であらゆる英語の文章の6割以上を占めているのは確実そうなので、これらは問答無用で必要ですね。ちなみに僕の場合、173位のgovern以外は口頭でも文中にも用いたことがある語でした。これらはまさに不可欠だからこそ自然に身に付く語ですね。これらは覚えようとして覚えるというよりは、覚えてしまっている語ではないでしょうか。

 一位~十位まで挙げてみると、順に the, of, and, a, to, in, he, have ,it になります。割合は前置詞が3、名詞(代名詞)が2、冠詞が2、接続詞が1、動詞が1になります。

 さらに調べていたらwikitionaryに語の使用頻度をカテゴリー別に分別したランキングがのっていました。
http://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Frequency_lists#English


テレビ・映画 http://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Frequency_lists/TV/2006/1-1000 


プロジェクト・グーテンベルグ http://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Frequency_lists/PG/2006/04/1-10000


Note: プロジェクト・グーテンベルグとは

 著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。印刷の父、ヨハネス・グーテンベルクの名を冠し、人類に対する貢献を目指している。  (Wikipediaの記事より引用 )



現代小説 http://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Frequency_lists/Contemporary_fiction


 http://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Frequency_lists/Contemporary_poetry


学問的な語 http://simple.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Academic_word_list


会話で使われる語(派生語を含む) http://simple.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:BNC_spoken_freq_01 


 軽く目を通してみましたが学問的な語彙以外のカテゴリーの1000位以内の語はどれも、英語にふれる中で自然に身に付いている語でした。それ以降の語からは徐々にあまり目をしない語が増えてきます。これらを利用して語を増やしていくのもありでしょうか? 

 2005年に調査したプロジェクト・グーテンベルグ内の頻度別ランキングは100,000位まで載っています。しかしプロジェクト・グーテンベルグは英語以外の言語の本もごくわずかですが収集しているため、順位が下がれば下がる程に英語以外の語がでてきますhttp://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Frequency_lists/PG/2005/08/90001-100000 

 ちなみにMerriam-WebsterのLearner's Dictionaryのサイトには3,000語がピックアップされています。まずこのなかの語の中から知らない語を無くし、理解語彙としてだけでなく使用語彙として使えるようになることが次のステップへの大前提になりそうです。
http://www.learnersdictionary.com/browse/words3k/ 


 ここまで使用頻度のランキングをいくつか挙げてきました。これらを自分で分析するのは手間がすごいかかりそうなので、使用頻度のランキングを分析したサイトをみつけたので、それを参考にさせていただきました。
http://www.nullarbor.co.jp/guidance/toeic_g05.html 


 リンク先のページ中程に書かれています。

 そこで重要なのはある程度の語彙数以降は、機能語は増えなくなり、内容語の割合がどんどん増加していくという点ですね。

 英語の機能語(function word)は代名詞、前置詞、接続詞、間投詞、決定詞で、その語自体にはあまり意味がなく内容語と組合わさることで意味をもつ。文法的な役割。

 内容語(content word)は名詞、動詞、形容詞、副詞で、その語自体に意味があり機能語と組み合わさり意味がひろがる。


 先ほどの2006年のグーテンベルグ・プロジェクト内の語の使用頻度調査を見てみると
( http://en.wiktionary.org/wiki/Wiktionary:Frequency_lists/PG/2006/04/1-10000 )、 

 100語までは、前置詞、代名詞、決定詞 -determiner (冠詞・数量詞・指示語・所有詞)、助動詞-primary auxiliary(be, do, have)とmodal auxiliary (will, can, may…)が多いですね。

 200語から一般動詞、形容詞、名詞などの内容語が徐々に増えてきます。反対に機能語が減っていってます。その傾向は1000語以降もなるともっと顕著になっていきます。9001~10,000語になると名詞と形容詞がほとんどを占めています。

 これらの傾向だけを見ると、使用頻度が高い語を中心に学べばいいと考えがちになってしまいますが、実は落とし穴があります。重要な名詞や形容詞、副詞、動詞つまり内容語が、頻度の高低だけでみるとおろそかになってしまう恐れがあるのです。

 どういうことかというとランキングを上位から辿り一般的な内容語を挙げると

hospitalは3300位台
medicineは3500位台
eggは4100位台
mapは4400位台
Japanが4500位台
warnは4900位台
tomorrowは5100位台
differentlyが6300位台


 となっておりこれらは208位のlordよりはるかに格下になっています。lordはegg等に比べて遥かに普段使わない語だと思いますが(笑)上記の語は自然に身に付く語ではあるのですがこういう傾向が出てしまいます。

 従って、頻度の高い単語を上から順に追っていくのは、とても有効な方法ですが十分ではなさそうです。おろそかになりがちにな内容語を意識する必要がありますね。3000語以降の語は、頻度の高低が学ぶ側にとってあまり意味をなさなくなってきます。3000語に関して言えばこれらは英語を学ぶ中で勝手に覚えていく語ですからそれぞれ書き出して覚えるという語ではないですね。

 しかし上のランキングの上位3,000語はいくつか要らないのもありますが(プロジェクト・グーテンベルグは若干英語以外の言語の本も収集しているため)、使用語彙として修得しとく必要があります。

 今まで使用頻度のランキングで基礎的な語彙をみてきましたが、同じ様に基礎的な語彙を学者が研究を重ね850の基礎語彙に集約した本があります。80年以上も前の本ですが、C・K・オグデン (Charles Kay Ogden)というケンブリッジの英語学者、哲学者で作家でもある人が英語の語彙を850語に限定しようとベーシック英語(Basic English)を提唱しました。有名な本なのでご存知の方も多いと思います。先の豊田さんの本にも少しふれられていたのでまた引用してみます。


「ベイシック英語」運動

 実際に英語の語彙をわずか850語に限定しようという運動がある。ケンブリッジ大学のC・K・オグデンが1929年から1930年にかけて発表した「ベイシック英語」(Basic English)であり、彼はこの程度の語彙で一般の英語のコミュニケーションには十分だと主張した。これは「積極的」語彙をさらにしぼりこんだ英語の簡易化の試みで、「ベイシック英語」による英語訳聖書も出版されてきた。
「ベイシック英語」の動詞として提案されたのは次の16語である。come, go, put, take, give, get, make, keep, let, do, say, see, send, be, seem, have。 名詞は400語および形容詞150語にくらべて16と言う基本同士の語数はきわめて限定されている。その理由としては、enterはcome in, returnはcome back, lookは、give a lookのように[基本動詞+副詞]あるいは[基本動詞+名詞]でその代用ができるという事実があげられよう。
 さしあたって、ここに示されているような基本動詞をみにつけておけば、最低限のコミュニケーションは保証される。特例の動詞をとりあげて実例を示してみたいが、大切なのは観察と実践である。観察と実践の繰り返しといってもよい。
 すなわち、実際の用法を目と耳で確認し、その後、実際の場で使用することである。


豊田昌倫. (1991). 英語表現をみがく<動詞編>. 講談社現代新書1:11~12p  



 ここにその850語のリストを載せておきます。
http://simple.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:Basic_English_ordered_wordlist 


 そのうち200語の名詞は写真付きで載っていました。http://simple.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:Basic_English_picture_wordlist 


 これらは学者が研究の上にピックアップした基礎的な語彙ですね。ある程度英語を学んでいればこれらの語彙は知っているわけですが、知っている(理解語彙)だけではなく、運用できる(使用語彙)ようにしとくことが語彙を増やす上での大前提ですね。そしてさらに語彙を増やす段階においてもこのベーシックな語彙を中心に据えネットワークを作っていくことが、効率のいい語彙修得法のヒントになりそうです。このことは後半みていきます。 





 ここまで語彙そのものについて、そして英語の語彙の使用頻度を考えてきました。

 それにしても英語の語彙数が50~200万あるとは。一生のうちに出会わない語がほとんどでしょうね。日本語でいえば、一生のうちに、宸念、弑逆、蟠踞、呑噬、澎湃とかは使うことはもとより見ることすらない人も多いのではないでしょうか(僕も調べなければこれらの存在すらしらなかったでしょう)。

   英語でも見る機会のなさそうな単語がいっぱいありそうです。難しい英単語としてよく挙げられる「長~い英単語」を除いて調べてみると例えば、sporogonium, prospicience, esquamulose などは"英語の難しい語"として調べなければ存在すら知らなかったでしょう。

 上記の英語は、日常生活の中でまったく必要がない英語の極端な例ですが、ここでのヒントになるのは、使う、見る、聞くといった機会が少ない語より頻繁に用いられる語をまず着実に覚えて、使いこなす訓練をしていくべきですね。つまり、大げさな語 (big words)より平易な語 (small words) を中心にまず増やしていくということが基本になりそうです。

   先ほどの本でも指摘されていましたが、大げさな語、平易ではない語、かしこまった語、難解な語は、得てして外の言語からそのまま取り入れた語が多いのではないでしょうか?

 日本語でいえば熟語(漢字を2字以上でかかれた漢語)を取り入れられた語が当てはまるような気がします。厳密には漢語は外来語ではないのですが、字自体は外来してきたものなので広い意味で外来語ではないでしょうか。

 ここで例として、やまとことばと同義の語を並べてみました。それぞれ厳密には同じ意味は表さないですが、「わかる」を平易な言葉とすると「理解する、把握する」がかしこまった語、「しぬ」を「他界する、逝去する、往生する」といった具合に。

 欧米語からの外来語の場合は丁度いい日本語が見つからない場合に多いですね。例えば、キュレーション、リテラシー、インヘレンシー、アドバンテージ、マンデート、アプリオリ、アップデート等

 豊田さんの本の第2章の題が「英語のやまとことば 本来語と外来語」になっていますが、英語にも日本語でいうやまとことばという本来語があり外来語があり、似た面があると説明されています。

※括弧内は語源・借り入れられた時期【2,3世紀~現在】

begin (ゲルマン語派) ➔ commence(ラテン語、アングロ=ノルマン語、14世紀)

end (ゲルマン語派) ➔ finish(ラテン語、古フランス語、14世紀)

buy(ゲルマン語派) ➔ purchase(アングロ=ノルマン語、13世紀)

read (ゲルマン語派) ➔ peruse (アングロ=ノルマン語 or 中世ラテン語、15世紀)

make(ゲルマン語派) ➔ produce(ラテン語、15世紀)

give(ゲルマン語派) ➔ provide(ラテン語、15世紀)

build(ゲルマン語派) ➔ construct(ラテン語、17世紀)

say(ゲルマン語派) ➔  state(ラテン語・古フランス語、13世紀)

keep(ゲルマン語派) ➔ preserve(ラテン語・古フランス語、14世紀)

mean(ゲルマン語派) ➔ signify(ラテン語・古フランス語、13世紀)

hide(ゲルマン語派) ➔ conceal(ラテン語・古フランス語、13世紀)


   上はご覧とおり全て英語の単語ですが、左側が本来語で日常的な語で、右側が文語的な(口語的でない)表現ですね。字数が増え、一番上のbeginとcommenceのペアを除いて音節が増えてますね。



   ここで大まかに英語の歴史を、先ほどの本を参考にさらっとまとめてみました。






 英語はそもそもは5世紀ごろブリテン島へ追われたゲルマン人の部族たちの言語がベースとなっています。そのため今の英語の初期段階である古英語の語彙や文法の基礎は、彼らが話していたゲルマン語派に基づいているそうです。(そのため古英語は現代の英語よりドイツ語に近い)


 古英語、中英語、近代英語という大まかに区切ることができます。



 


 古英語は大陸からきたゲルマン祖語を基礎とし、8世紀頃にスカンジナビアからバイキングを通して入ってきた古ノルド語の影響を受けすこしづつ変化。古英語は "英語" の基礎(日本語でいうやまとことば)。















 1066年からはじまる中英語は、その具体的年数が示す通り、ノルマン人が王位継承権を求め、イングランドを征服し、移住してきた貴族たちにより、公用語をその後300年の間ラテン語系のオイル語(現代フランス語へと続く系統)に換えてしまいます。





その影響でオイル語系の言語が支配者階級の言語となり、それまでの英語は大きく影響を受ける。そのため中英語の特徴はオイル語(フランス語の祖)からの語彙を大幅に借用されたという点です。短絡的にまとめてしまうと、ゲルマン祖語系の英語に、ラテン語系のフランス語が混じり大きな変化をもたらしました。それが大きな特徴ですね。







 その中英語に変化を与えたのが、14世紀にイタリアではじまった古代ギリシア・ローマの文化を復興しようという文化革命運動(ルネッサンス)。







 その流れが16世紀にイングランドで最盛期を迎えました。そういった文化的古典回帰運動の流れで、話し言葉と書き言葉(ラテン語)が分かれていたのを一致させる運動が盛んになり、書記言語であった古典語(ラテン語)が大量に英語の語彙として使われるようになり、中英語に変化を与えました。ルネッサンス以後の英語は中英語から近代英語 へなります。

 



初期近代英語の特徴はラテン語からのそのまま語を借り入れている点です。中英語の特徴であるフランス語もラテン語系なのでおおまかにいえばラテン語からの借り入れなのですが、直接借り入れている点が特徴です。

 後期近代英語以降は割愛。

 ここまでがざっくりした英語の歴史です。

 上記の英語の変化していった歴史を追ってみると、ゲルマン祖語の分化した西ゲルマン語群の一つであるアングロ・サクソン語が英語の母体となり、

 1.バイキングの侵略による古ノルド語のデーン語からの影響を受ける。
 2.ノルマン人の移住に伴う公用語のフランス語化(オイル語)の影響を受ける。
 3.ルネッサンス(ギリシア・ローマ文化への関心の高まり)の影響でラテン語の影響を受ける。

 1に関して言うとデーン語から日常的な語が流入してきたものの、デーン語もアングロ・サクソン語もゲルマン祖語からの系統のため非常に似ていて、あまりつづり字や文法の変化もなく外来語というには見かけ上難しい。そのため英語の大きな変化として、 (デーン語の影響を受けた)アングロ・サクソン語、フランス語(オイル語)、ラテン語という3つの言語が英語を構成する主なものになる。


 長々と書きましたが本の中で説明されていたポイントは、英語の語彙の中に


 


アングロ・サクソン語(西ゲルマン語群)― フランス語 ― ラテン語

 という語彙の3部構造が現在の英語の語彙の中にしばしばみられるそうです。

 例えば

 「始める」という日本語訳される英単語を見てみると、アングロサクソン語系からの"begin"が本来語、フランス語系からcommence、ラテン語系からinitiateが外来語という構造がある。

 同じように、

 「終える」と日本語訳される単語、"end"が本来語、フランス語系の"finish"、ラテン語系の "terminate"が外来語

 「昇る」と日本語訳される単語、"rise"が本来語、フランス語系の"mount"、ラテン語系の"ascend"が外来語

 このように、つづりの難易度といったら主観になってしまいますが、左から右にかけて語彙のレベルが上がっています。言い換えれば、似たような語義でも、右に行く程、使用頻度が低い語になっていきます。そして、その語が持つ語義の範囲も左から順に狭まっていきます。類義語であるがriseの方がascentより語義を広く持つということになります。なので語義を覚えるという観点からみると逆に本来語の方が難しいですね。

 "small word, big meaning"と言われますが、つまり語義を広く持つ語、つまり平易な語(small words)から覚えていくべきだと考えました。広がり甲斐があるわけですね。


 ここでもう一つの例としてaskが良い例になります。askの同義語にinquire (enquire), requireがあります。inquire, requireは日本語訳だと順に、尋ねる、求めるという風に訳されると思います。askはこれら2つの概念を含んだ使い用途が広い語ですね。inquireの意味として使われたり、requireの意味として使われます(もちろんその他の意味で使われることもあります)。しかし、inquireはrequireとしては使われません。and vice versa.

 得てして文字数、音節の少ない語は語義を多く持つ傾向がありますね。例えば、as, be, do, get… 等の短い語は非常に多い語義を持ってますね。

 ここで語彙修得のヒントとして、1つ目は短い語は語義を多く持つ傾向がある、2つ目は語義が似た語として関連づけして覚えるということですね。

 1つ目の理由として短い語は覚え易い(シンプルです)。
 2つ目の理由としては関連付けすることで思い出し易くなる(忘れにくい)。

 つまり短い語は字数的に覚え易く、語義が多く持つために似た語義の語を芋づる的に手に入れることができ、語義が関連しているために思い出し易いのではないかと考えました。



 askを覚えることでinquire (enquire), requireを覚え、inquireからquestion、requireからneed、question…といった風にネットワークを延ばしていきながら増やしていく方法がいいと思います。関連づけられていることのメリットは思い出し易くなるということですね。

 例えばモノを無くした時にそれを探す場合、最後に持っていた、或いは使った時間や場所と関連づけして思い出したりするのはそういった理由でしょう。どのように関連づけするかはひとまず置いといて、関連づけすることで思い出し易くなる(忘れにくくなる)メリットがあると考えました。

 なので平易な語を中心に据えネットワークを繋げていく方法を1つの方法として採用したいと思います。

 これを発展させたのがシソーラスのように抽象の度合いを上下させてネットワークさらに拡げる方法が有名ですね。さっきのは似た語義でネットワークを作っていきました。今度の場合は抽象度を上下させて、あるカテゴリーを絞ったり、拡げたりするネットワークです。

 例えば、rainからweather関連として、sunny, cloudy, foggy, windy, snow, storm, hurricane, typhoon, hot, cold…といったネットワークを作ったり、

 rainをwater関連として、river, freshwater, sea, ocean, beach, shore, ice…といったり

 runをmotion関連として、walk, move, race, rush, foot, leg, flee, escape, hurry, jog, exercise, heart pumping, step…

 runをbusiness関連に焦点にあてると、company, manage, stock, invest, deal, loan, payment, finance, account, bill, bookkeeping, bank…

 correctのaccurateの系で exact, precise, just, clear, specific, right, true, fact, rigid, legitimate, definite, reasonable, proper, genuine, real…

 needをessentialの系で important, necessary, duty, obligate, absolute, vital, require, need, have to, fatal, crucial, fundamental, imperative, indispensable…

 bankを money, loan, currency, exchange, account, dollar, buck, borrow, rent, guarantee, mortgage, investment, stock, save, deposit, fund…




 などなど実際書き出してみたり、頭の中でつないでいったり、声にだしてみたりとやり方はいっぱいありますがこれが一つの方法になりそうです。

 若干、拡大解釈してでも連想ゲームのようにつないでいくことが重要ですね。それとその語の派生語は当然含めて考えます。確かに品詞毎に大きく意味が変わることがありますが。

 次にネットワーク同士がどのようにつながるのかと考えるのも有効ですね。ある動きの系に、動物の系をつないでみたり、例えば、swimの系にswimする動物の系を繋いでみたりと、抽象具合を変化させていろんな系を作ることができます。